――書類選考はどこで選考の判断ができるのでしょうか。
杉浦中途採用と新卒採用で書類を見るポイントは大きく違います。新卒はポテンシャルを見ますので、書類はそれほど重要視されません。中途は過去に身につけたスキルが大切なので、履歴書に書いてある“やってきたこと”が判断材料としては大きくなります。やってきたことの項目と深さが一つのポイントですね。仕事の内容によっては1~2年で習熟できない場合もあるので、それを何年やってきたかというのも大きいです。中途の場合はやってきた仕事の幅と深さを書類で確認する。会社の中には転職の回数で制限したりするケースもありますが、最近はそこを気にしない会社も増えています。
面接では、印象的なものや雰囲気的なものよりも、何をやってきたのかが大事です。そして、それはその人がやってきたのか、それとも組織がやってきたのか。その人にやってもらいたいこと、やってくれること、できることを求めて採用しますから、その人が入ってきた時にちゃんと再現できるのか、きちんと役割を果たしてもらえるか、を見ます。パーソナリティーよりも、能力・スキルが面接でも重視されると思います。
――人柄などはあまり判断材料にならない?
杉浦新卒に比べて割合は小さいです。中途は即戦力が求められますから、スキルが大事になる。新卒はポテンシャルを見るので、戦力化するのに2年ぐらいかかります。新卒はパーソナリティーとポテンシャルしか判断できないとも言える。中途の場合はスキル重視で、パーソナリティーに多少問題があっても腕一本で食べてました、という人が採用される場合がありますね。
――スキルがない人は中途採用は難しいのでしょうか。
杉浦一つ言えるのは、年齢的なアドバンテージはあります。若ければ若いほど転職はしやすいです。スキルがなくても採用されやすい。新卒に近い判断基準で採用してもらえるから。年齢が上がると一般的な中途と見られるようになるので、スキルがないと厳しくなります。残酷なようだけど、年齢はある程度の影響力がありますね。
――スキルのあるなしは会社ごとに判断するわけですね。
杉浦中途採用では求めているものが会社によって全然違いますから。同じ職種であっても、A社とB社では採用する基準が違う。スキルのマッチ度が重要ですね。例えば小さな製菓会社で人事を採用します、という場合は、「大企業で人事に携わっていました」という様な、細分化されたスキルよりは、中小企業で泥臭く人事をやっていた人がほしい!ということがありますね。逆に大企業の場合は中小企業の人事スキルが通用しなかったり。そういった意味では、「これを持っていれば必ず有利になる」という絶対的なものはないと思います。
――それは企業がスキルの価値を判断できることが前提ですね。
杉浦ものすごく大事なことです。採用全般に言えることですが、企業側では「自社なりの判断基準を持てるかどうか」が採用の成否を決めます。入社後に中途採用社員が会社にフィットするのかも大事ですけど。