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――中途採用で未経験の人を採用することはあまりないと思いますが、あえて採ることもありますか。
杉浦新卒がなかなか採れない場合には考えられますね。一方で、新卒と中途の区分けは必要ないのではないか、という考え方もあります。どういう能力を持っていて、どういうことができるのかということだけで判断してあげれば良い。高校、大学を卒業して何年も実務経験がないまま30歳になった人がいたとしたら、本来であれば新卒の金額で採ればいいと思っています。本人もそれで納得するのであれば。大事なのは年齢ではなくて、何ができるのか、そしてそれに対していくら払うのか。そういう意味で言うと、経験・未経験、どういうスキルを持っているのか、それだけで判断すればいいと思います。
――でも、専門職の場合は「30歳、経験なし」では厳しいですよね。それでも雇うとしたら、どういった点を見るのでしょうか。
杉浦まず、初任給で良い、というのであれば、企業から見れば魅力でしょうね。
――では、同じ条件の人が3人いた場合は、どこを見て判断するのでしょうか。
杉浦企業の考え方次第ですね。パーソナリティーが良い、会社とのフィット感が良い、求められるスキルと類似するスキルを持っている、コミュニケーション能力がある、語学力がある等々、会社によってプライオリティーが変わってくるでしょう。
――この場合はスキル以外を見るわけですね。
杉浦そうですね。
――これからは業種採用ではなく職種採用だ、という話がありますが、そうなるとマニュアル的になるのかな、という気がします。「これからは職種採用だ」と言うと、職種でしか見ないとか。
杉浦何にせよ、「こうしなさい」というものは存在しないのだと思いますよ。こうすれば就職できる、こうやれば良い、と断定的な言い方をするのが流行っている気がしますが、採用においては必勝法なんてないんです。業種で採用したい人がいれば業種で見ればいいし、職種で見たい人がいるなら職種で見ればいいし、自分自身がどうしたいのか?という話でしょう。
――じゃあ、採用する側にとっても、業種でも職種でもどちらでも良い、と。
杉浦その人が何を持っていて何をできるのかさえわかれば、別にどちらでも良いでしょうね。
――履歴書に志望動機を書きますよね。あれは採用する側はちゃんと見ているものなのでしょうか。
杉浦あまり見ないのではないでしょうか。特に中途採用の場合は。「志望動機を大事にしています」という会社は知りません。
――では、「なぜウチの会社に入りたいのですか」という質問には、答えるだけ意味がない?
杉浦それはむしろ逆だと思います。新卒の場合は年齢のバランスや市場の問題で毎年採ることが決まっているケースが多いのですが、中途採用はそもそも企業側が「ほしい」というところからスタートしている。となれば、企業側がどんな人材がほしくて、やってほしい仕事があって、望むスキルがあって、将来的にはこういうこともやってほしいんだ、ということを伝えることが大事なんです。それを応募者は判断して、自分はここはできます、ここはできません、とちゃんと伝えて、お互いが合意すれば採用となる。だから、企業側が「あなたには何ができるの」「どうするの」「なぜウチに入りたいの」と聞くことは本来ないはずです。
――ただ、「なぜウチの会社に入りたいのですか」と聞かれると、転職する側には「良い回答をしたい」という思いがあると思います。
杉浦あまりそこに意味はないですよね。そんなことより、「求人が出てましたので」というのがあるわけで(笑)。求人の内容を自分なりに読み解いた時に、こういうスキル、能力が必要なのではないかと判断しました、自分にはこういうことはできないけれども、こういうことはできます、今回の求人の要件を見たら、私ができない部分はそんなに問題ではないと思いました――こういう話をすれば良いだけだと思います。
――営業マンが商品を売り込むのと変わりませんね。
杉浦もちろん。
――あまり、難しく考えない方がいいみたいですね、志望動機などは。
杉浦志望理由が高ければその人が活躍できるのであれば、企業は志望動機を判断材料にすれば良いのですが、関係ないですから。ほとんどの会社では、関係ないと思いますよ。それでも聞いてしまうのは、性(さが)なのかな。「御社が好きです」と言ってもらいたいのかもしれません(笑)。
――最後に、転職活動をしている方にメッセージをお願いします。
杉浦まず大事なことは目の前の仕事を徹底してやれるかどうかです。その中でスキルを上げていくのが実は一番近道です。そうしてできる仕事の幅を広げつつ深めていかないと、転職市場では「売れるものがない」ということになります。まずは目の前の仕事に徹底して打ち込んでいくことをお勧めします。